今回は「田中茂樹」さんの著書で
「去られるためにそこにいる-子育てに悩む親との心理臨床」をご紹介いたします。
本書を読んだきっかけは、子どもとのかかわり方に悩んでいると妻に対して何かいいアドバイスはできないかと思ったためです。
子育てに悩む方に共通する悩みに対して、きっと役に立つ内容となっておりますので、最後までお読みいただけますと幸いです。
娘へのメッセージ
「もしあなたに子どもができたら、ただただ優しく接してあげて。パパとママがそうだったように」
本書を読んで、特に刺さった内容を3つに分けてご紹介いたします。
家族との暮らしを楽しむ
子育ての時間、家族としての暮らしを、親も子も楽しむということ。
子どもと過ごす時間は、目的であって手段ではないはずだ。
どうやって子どもを「よりよく」導くかとか、どうやって勉強ができる子に育てるかとか、有名校に合格させるにはどうしたらいいかなどと、親は悩まなくてもよいのである。
それよりも、どうやって子どもを笑わせようか、何をして一緒に楽しもうかと、そちらにだけ集中して、楽に過ごしても、結果は(「結果」という言葉の意味するところも、実はとても広く深いものだが)変わらない。
それどころか、そのほうが親も子も幸せになれる可能性がずっと高い。
親が導こうとしなくても、子供は自分の持っている力によって親離れしていく。それどころか子供が本来持ってる自立しようとする力が親の子離れをも助ける
送り出す側が去られることになっても、揺るがす、どっしとしていること、必要なときはいつでも温かく手を差しのべる用意があることを伝えること。
それこそが親から去ろうとしている子供を何よりも励ます。
Mothers have to be there to be left.
ただただ優しい言葉をかけて大丈夫
表面的な言葉や振る舞いの底にある子どもの思いを意識しておくことが大切である。
親としては、躾や教育的なことが頭に浮かんでも(浮かぶのは当然だが、それは頑張って置いておく)、幼い子供の心を意識しながら向き合うのは当然である。
怒鳴ったり、叩いたり、ものを壊すのは駄目だけれど、あなたが辛かったということが伝わった。
「辛かったね、なのにこれまでよく辛抱してくれたね。あなたのことを凄く大事に思っているよ。あなたのおかげで私はこれまでやってこられたんだよ。ありがとう」と。
子供が求めているのは、親からのいたわりと感謝の気持ちである。
今目の前で甘えている子ども、暴言を吐き暴れているように見えて実は悲しみを表現している子供を、そのまま受け入れてもいいのだ。
ただただ優しい言葉をかけても大丈夫なのだ、ということを心に留めておくことができれば、それだけでもずっと状況は改善する。
子供が幼かった時の写真や動画を見返してもいいだろう。
どうやって子供を黙らせようか、暴れる子どもをどうやって諭して「いい子」にしようかと思うような教育的な姿勢で親が向き合うと、子供の怒りはますますエスカレートする。
それはそのような親の方針に従ってきたため、自分本位な部分、自己主張したい部分がずっと抑えつけられることになったと子供が無意識に感じているからだろう。
子供が退行したそもそもの目的はここに、すなわち「親に甘えて自分の意見を聞いてもらえる」という体験をすること
子どもの対抗は親である自分自身のためであると考えてみることを勧めている。
甘えている子供は自分自身だと思ってみる。
幼かったあの頃、甘えたかったけど、甘えられなかった。
その自分が今、目の前にいて子供となって親に(自分に)甘えている親に甘えることを、今度は親の立場で、心は自分のこどもの中に溶け込ませて、体験してみる。
思いっきり甘やかしても大丈夫。
目の前の子供は自分自身なのだから、どんなに甘やかしちゃってもダメな子になんかならない。
その時の自分がそうして欲しかったように、存分の愛情を、メッセージを子供に伝えてみよう。
子どもの不安を受け止める
相手(親)の意に反してことでも「主張できた」「受け止めてもらえた」という体験は、子どもの自己主張の力を育てる
「早く寝なさい」と言っても、子供がなかなか寝ない事の良いところ、どこだと思うか?
これまで親に寝なさいと言われて寝ていた子供が人から言われるのではなく、寝るか寝ないか、いつ寝るかを自分で決めようとしてる。
それこそが「良いこと」で、昼夜逆転という「外から見える行動や結果」ではなく、子どもの自己決定という「内なるプロセス」に価値がある。
親は子どもが生意気になっていくのを歓迎すべきなのだ。
歯が生えたり、歩き出したり、そういうことを喜ぶのと同じ気持ちで。
「問題」をすぐに解決しようとせずに、子どもの不安を受け止める。
どうにかしてあげたいのは、やまやまであるけれど、目の前の子どもの不安に寄り添ってみる。
立ちすくんでしまった子どもがどういう方向に動き出すのか、先に進まずに近くで見守ってやる。
そのような向き合い方によってこそ即効性もなくて、この先の子供の人生で、本当に役立つ力が育つ。
すぐに子どもの問題をなんとかしようとする自分の気持ちの方を意識しながら、親は頑張って子供と向き合う。
「症状はその人にとって大切なもの。簡単にとってしまっていいはずがない。」「話してくれてありがとう。それは嫌だっただろうな」と気持ちに共感する。
こうしなければいけないのに、自分は全然できないと悩む方が多い。
でも大丈夫。気がついたところで立て直せばいい。
何回しくじっても、親子なんだから大丈夫。
自分の心の根っこにある愛を信じて、何度でも立て直せばいい。
そこにこそ人生の醍醐味もあるはず。
まとめ
いかがだったでしょうか。
本書を読んで、根本的に大切なことは子育てを楽しむ、人生を楽しむということを思い出しました。
どうやって子どもを笑わせようかと思いながら子どもと接していれば、親の人生も子どもの人生ももっと楽しい時間に変わると思います。
子どものワガママを聞いて、子どもの感情に共感して、子どもを信じて、ゆったりと見守ってあげれば
きっといい子に育つはず。
しくじっても気づいた時に、直していき、親子ともに成長していければいいとだと思います。
ゆっくりゆっくり一緒に成長していきます。
コメント