子どものコーチになろう-「子どもの心のコーチング 一人で考え、一人でできる子の育て方」を読んで

子育て

今回は、菅原裕子さんの著書「子どもの心のコーチング 一人で考え、一人でできる子の育て方」の本を読ませていただきました。

とてもいい本で妻にも読んでもらいたいと思える本でした。

その中で特に重要だと思った点を4つに厳選して、今回ご紹介をさせていただきます。

この記事を読むことで、子供との関わり方が変わり、子育てに悩むことが減ることはもちろん、子供にとっても理想の親になることができます。

子供がいない方でも、誰かに教えたりすることがある方も、人に伝える技術や部下を自ら成長させるヒントを学べると思います。

ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。

ヘルプとサポートの違い

「援助」という言葉は、英語では「HELP」と「SUPPORT」という言葉が並びます。こちらは似ているようで子育ての観点では大きく違います。

「HELP」保護者の仕事:できない人のためにその人に変わってやってあげること。

「SUPPORT」親の仕事:人を「できる」存在と捉えて、そばで見守り、よりよくなるために必要な時に手を貸すこと。

「HELP」保護者の仕事:できない人のためにその人に変わってやってあげること。

まずは「HELP」保護者の仕事から説明をしていきます。

赤ちゃんの親はできない子を完全保護する「保護者」です。

人間の赤ちゃんは未熟な状態で生まれていきます。誕生から3か月は完全な依存状態にあります。

当然のことながら、この時期に完全な保護が受けれれないと、子供は生きてはいけません。

この時期の保護は、子供の「できない」状態にもとづいての行為と言えるでしょう。自分でおっぱいが飲めない、自分ではおむつはかえられない。自分では移動できない子供に代わって親がすべての面倒をみるのです。

子供ができることが増えるにつれて、親の保護は「支配」へと姿を変えていきます。

例えば、突然走り出す子供を制止するために手をつなげ、ベビーカーにしばりつけて出かけます。子供の安全を守るためには当然のことです。

この保護と支配の時期はこの後に続く子供の自主性の開発と自立を促すうえで、とても重要な意味のある時です。

子供を「できない」という認識をして、向き合うのが「HELP]です。

「SUPPORT」親の仕事:人を「できる」存在と捉えて、そばで見守り、よりよくなるために必要な時に手を貸すこと。

子供の成長はめざましく、まもなく保護も支配も必要のない時期が来ます。しかし、その成長に気づかない親は、それまでの延長で変わらず子供の保護と支配を続けます。実際はそれが子供の自由を奪い、自ら伸びようとする芽を摘んでしまうのです。

子供の「できる」を認めず、「できない」ままの存在として保護し続けることで、子供の自立を妨げてしまいます。

子供の生きる力を育てるには、子供の成長にしたがって、親は「保護者」から「親」へと成長しなければなりません

保護者は「できない」子供を完全保護しました。

しかし親の役割は「できる」子供に対する援助です。

子供の自立を「SUPPORT」できる親は、親自身が自立していて、子供から必要とされなくなることを恐れない人です。

自立とは、人をあてにしなくても自分の力で生きられることと、自分ではできない時に素直に人に援助を求める能力を意味します。

実は何も知らないと思える生まれた子供の中に、すでに自立して生きていくために必要なすべての知恵の芽が存在してます。

その芽は親が邪魔さえしなければ、立派に育つように仕組まれているのです。

種に土をかけて、日当たりの良いところにおいて、水を与えるだけで、植物は立派に育ちます。

植物が必要とするすべての情報は、種の中に宿っています。

子供も同じです。自分の力で生きることを学べるように、親が環境を整えてあげれば、子供は自分の中にある知恵を芽生えさせることができるのです。

「SUPPORT」は子供が自分で学び、発見できるよう、親が子供の邪魔をしないことです。子供の人生を子供に任せていくことです。

「SUPPORT」は人を「できる」存在と捉えて、そばで見守り、よりよくなるために必要な時には手を貸すことです。

サポートができる親になるために

サポートができる親になるためには、「子供をサポートし、才能を開花させるコーチ」になることを意識することです。

コーチは決して、選手(主役)に代わってプレーすることはありません。コーチの仕事は選手の才能を開花させることです。

選手がよりよいプレーができるようにサポートするのが仕事です。

親が子供のコーチになる3条件

①子供はできることを知っている

②子供自身がもっと良くなりたいことを知っている

③子供が望んでいることが起きるまで待ち、必要なサポートは何でもしようとする柔軟性がある

上記の3条件を言葉にするとこんな感じになります。

「君は可能性でいっぱいだ。君がもっと良くなりたいと願っているのを知っている。お父さんとお母さんは、そんな君にどんなサポートも惜しまない。君が望むものを手に入れるまで、我慢強く応援するよ」

この言葉を自分の子供に置き換えて常に頭に入れておきましょう。

責任を教えることで、問題解決能力がつく

責任を教えるとは

責任は英語で「Responsibility」と言い、「Respone(反応)」と「Ability(能力)」という二つの言葉からなっています。

つまり責任とは「反応する能力」という意味です。子供に教えたい責任は、日常の反応しなければならないことに対して、自分で積極的に反応することです。

そのためには、子供の仕事を取り上げないことです。

「自分でやりなさい」と子供に仕事を押し付けるのではなく、子供がやりたくなるような環境づくりをしましょう。

環境づくりの第一歩は、子供がやりたがりの芽が出てきたときに、その邪魔をしないことです。

3歳ぐらいになると、頑固なほど「自分でやる!」が始まります。なるべく子供自身にやらせることで、「やりたがり」を健康的に育てることができます。

しかし、親はよく反対をやります。「自分で」と子供が言うと「怪我したらどうするの。まだ無理よ」と言い、子供が甘えて「やってー」と来ると、「もう大きいんだから自分でやりなさい」と言います。

「子供の仕事は子供に任せる。そして甘えは受け入れる」というように、はっきりとした枠組みを持っていれば、迷うことなく一貫性をもって子供に対応できるのです。

原因と結果から子供は学んでいく

ここでは、朝、自分で起きることを例に、原因と結果から学んでいくことを説明していきます。

朝、自分で起きることが、なぜ責任(反応する能力)を育てるのでしょうか?

もし自分で起きて遅刻をした場合、クラスメートが全員席についている教室へ一人で入っていく決まりの悪さや、先生にも注意をされるでしょう。

居心地の悪いことが起こると、どうしたらいいのか考える習慣がつきます。

例えば「今日の夜はもっと早く寝て、明日の朝はもっと早く起きよう」。

このように原因を変えようと努力しようとしてます。それこそが現状に反応する能力です。

人はこのように、原因と結果の法則の中で、自分がどのように行動するかを学んでいきます。そうやって問題処理能力が高まっていくのです。

一方、親が起こして遅刻をした場合はどうでしょう。その子は家に帰ってきて、きっと言うでしょう。

「お母さん(お父さん)がもっと早く起こしてくれなかったから」。

原因を作ったのは自分ではないのです。居心地の悪い結果を作ったのも自分ではなく、きちんと起こしてくれなかった親のせいにします。

親の被害者です。親のせいなので、原因を自分で変えようという考えには至りません。

「もっと早く起こしてくれなったら」と言われた親の方も、「何言ってるの。自分で起きなさい」と反発するものの、次の日もまた子供を起こします。

子どもを遅刻させないのは親の仕事だと考えるからです。こうして子供は立派な被害者へと育っていきます。

被害者は、自分の体験は自分で変えられることを知りません。とても無力な存在です。

原因を考える努力をする代わりに誰かを責めます。

その責めを引き受けてくれる限り、被害者は自分の人生を自分で変えようとしないのです。

被害者として都合の悪いことはすべて人のせいにして生きることは、一見楽なように思えます。

しかし自分の人生は自分次第で変えることができると考えられないから、大変ストレスの多い毎日です。

誰かほかのせいにするのに忙しくて、未来や次に自分に何ができるのか考えることはありません。

自分には自分の人生を変える力がないと感じているので、行動を起こすことに対して臆病で、自分に自信が持てないのです。

それでも幼いうちは「お母さんのせい」「お父さんのせい」と内輪もめですむでしょう。

しかし親はずっと子供と一緒に生きていけません。親から離れて過ごす時間が増える思春期や青年期を迎えたとき、子供の自信のないストレスをどう処理するのでしょうか。

私たち大人も同じです。「あの人のせいで・・・」と思うことはありませんか。

「生活が苦しいのは夫の働きが悪いせい」「仕事がうまくいかないのは上司が理解してくれないせい」「毎日イライラが多いのは子供のせい」と、うまくいかないことを人のせいにして被害者になることはありませんか。

そんな時あなたは自分の責任の力をつかってないのです。

誰にでもある力なのですが、繰り返し使ってこなかった人には、自分にそんな力があることすら知りません。そして誰かのせいにするという安易なほうを選ぶのです。

幼いうちから、子供には仕事を任せ、繰り返し自分で問題解決をする環境を提供しましょう

そうすると自然に問題処理能力が身につきます。

親から離れる時期になってから、一人で学ぼうとするとそれはつらいことではないでしょうか。幼いうちに親の大きな翼の中にいるうちに充分させてあげるのは、とても重要なことです。

責任を学んでいる子供は、そのプロセスで多くのことを学びます。その経験を繰り返すことで、自分次第で結果が変えられることを知り、耐性(フラストレーションを処理する能力)や問題解決能力が育ちます。

現実を見る勇気が育ち、成長しようという意欲も生まれます。

菅原裕子. 子どもの心のコーチング 一人で考え、一人でできる子の育て方 (PHP文庫)

愛を教える母性と責任を教える父性

母性は子供と自分の区別をつけず、子供を自分の一部として大切にします。

父性は子供と自分を別の存在と捉え、子どものすべきことをやらせます。

父性は必要以上に子供を守ろうとはしません。原因を作った子供に、その原因から起こる当然の結果を体験させようとします。子供が居心地の悪い体験をするのをじっと見守り、未来に向けて子供を強く育てようとします。

父性の仕事の「責任を教えること」は、子供に良いことと悪いこと、やっていいことといけないことの境界線をハッキリ示すことです。子供を心地よい母性から引き離し、責任を取ることを教えるのが父性の仕事です。

大切なのは子供が育つプロセスには母性と父性の両方が必要ということ。包み込んで優しく愛する母性と、距離を置き、本来学ぶべきことを学ばせる父性です。

そのままの自分が最高だと教える母性と、自分を抑制することを教える父性が一つになったとき、子供の自立はうながされるのです。

仕事の忙しい父親は、家族の様子を観察するのがおざなりになりがちです。

父親は母親と子供の様子をよく観察し、父性が十分足りているかどうかを見極めることが大切です。

母親が非常に母性の強い人である場合、子供の成長に伴って父親は母子の間に父性を持ち込むことが必要です。母親のヘルプを抑え、子供が自分の力で取り組めるような環境を作る役割です。

父親が自分に誇りをもち、子供に対してそのことを語るとき、子供は父親を誇りに思います

同時にその父の姿から、世の中に出て働くのがどういうことかを学びます。家族を養うために仕方なく働いている以上の、働く喜びや、社会や人の役に立つ喜びを子供に見せてください

その時子供は、自分も社会に出て活躍したいと思うようになります。

人の役に立つ喜び

人の役に立つ喜びの説明の前に、よくやってしまいがちな、「ほめること」「叱ること」のデメリットをご紹介します。

ほめることのデメリット

ほめ言葉を行動を起こす動機付けにしてしまうと、子供はほめてもらうために行動を起こすようになり、ほめてくれる人がいないところではやる気になれません。あるいは、やったのにほめてもらえないと 一人で傷つき、前進する気力を失います。

ほめる子育てに頼っていると、子供の中に本来の自己肯定感を育てることはできません。本来の「自分はこれだ」「この自分が好き」という無条件の存在肯定ではなく、他の人がどう思うかによって自分の価値を決める、自信のない人間に育ってしまいます。

大きくなっても常に自分をほめてくれる人を求め、ほめてもらわないと自分が大丈夫なのかどうかを自分で決められない、不安定な心の持ち主になってしまう可能性もあるのです。

叱ることのデメリット

「何やってるの!ほらさっさとしてよ」「いい加減にしないとぶつよ」「言うことを聞かないともう知らないよ」と言うことはないでしょうか?

叱られたり、脅されたりした子供はおびえ、その不安を解消するために親の言うとおりに行動します。その結果を見て、親はしつけが上手くいったと内心喜びます。しかしこれは脅しを使った支配であることを理解してください。

叱ることに効果があるとしたら、それは命にかかわることを教えるとき誰かを傷つけそうなときです。事故につながる可能性があったり、自分を傷つけてしまいそうな危険があるときは、すぐにやめさせて「ダメ!」と叱ることが大切です。命が危険にさらされているという緊急を要することであると、その場で教えることが大切です。

それ以外では子供を叱ることは、害こそあれ何もいいことはありません。

なぜ親は叱るのでしょうか?実は親は叱っているのではなく、怒っているのです。怒りを使って子供を支配しようとします。怒ることで子供を親の思い通りに動かそうとするのです。

親の怒りの動機づけにされた子供は、「怒られないために」という後ろ向きな理由で行動を起こすようになります。

その動機付けが習慣になってしますと、怒られないと行動を起こしません。そして行動をするときはいつも、自分に怒りをぶつけた親に腹を立てながら行動することになります。

この悪循環は、子供に「愛すること」を教えるどころか、人を憎むことを教えてしまうのです。

怒ること、叱ることの多い親は、一度自分が何に腹を立てているかを見つめ直してみてください。そこには、子供に対する「~べき」という考えがあるのではないでしょうか。

子供は親の言うことを聞くべき、子供は口答えすべきではない・・・その「~べき」があなたを腹を立てさせます。でも、その「~べき」は本当に正しいでしょうか?理にかなってますか?

理にかなっていると思うなら、怒らずに子供にその理(ことわり)を教えてください。もし、理にかなっていないと思われるなら、親の不機嫌を子供に押し付けるのはやめましょう。

「人の役に立つ喜び」こそ副作用のないやる気の種

ほめることも叱ることも、物やお金を充てることも、すべて外からの働きかけで、外から子供をその気にしようとする行為です。

本当のやる気は外からはきません。本当のやる気は、子供自身の中から湧いてくるものです。

そのやる気の種は「人の役に立つ喜び」です。この動機づけの種を植えることで、子供は一生、健全なやる気を保つことができます。この動機づけで動くとき、私たちは大きな充実感を体験できるのです。

「人の役に立つ喜び」を基本的に知っている子供は、ただ人の役に立つために行動を起こします。そのこと自体が喜びなのですから、相手が何かを返す必要はありません。相手からの見返りを求めてやっているのではないのです。この動機づけに副作用はありません。

大人である私たちが動機づけられるのはどんなときでしょうか。

・子供の寝顔を見ると元気になる

・仕事の達成をみんなが喜んでくれた時、次も頑張ろうと思う

・人の笑顔がうれしくて、つい何かをしてあげたくなる

・仲間の成長や幸せな姿を見ると「もうひと頑張りしてみよう!」と思える

・家族団らんが楽しみで踏ん張れる

人は本来、人の役に立ちたいと願っています

ではどうやって「人の役に立つ喜び」を教えるか?

子供が手伝ってくれたら、褒めないことが大切です。「いい子ね」「えらいぞ」という褒め言葉ではなく、子供が手伝ってくれたことに感謝し、喜んでください。子供が親のために働いた時に、親がどう感じたか、気持ちを教えてあげてほしいのです。

「ありがとう」「新聞を持ってきてくれると起きてすぐに新聞が読めるからとても嬉しい」「お母さん、この時間とても忙しくて。あなたが茶碗を並べてくれると本当に助かる」という具合に、自分の働きが親にどのような影響を与えたかをできれば具体的に教えてあげてください。

しかし子育ての時、私たちはこどもにしてほしいことやすべきことを指示・命令で伝えることが多いようです。子供をきちんと振舞わせることに忙しく、自分自身がどう思うか、どう感じるかを伝えることは少ないようです。

ところが子供が共鳴し、共感して、自ら動きたくなるのは、気持ちを聞かされた時なのです。同じことをやらせるとき、心躍る思いでやらせるのと。イヤイヤやらせるのとどちらがいいでしょうか。

心躍る思いで喜んでやらせるには、親や先生が自分の気持ちを子供と分かち合うことです。感謝や共感の中でだけ、子供に対して大切なことを教えることができるのです。

子育てとは、親が自分の気持ちをいかに言葉豊かに伝えるかを学ぶチャンスでもあります。

その時親は、子供の中に「人に役立つ喜び」の種を植えることができるのです。

聴く技術

私たちにとって人の話を聴くことは大変難しいことであるとお伝えしておきましょう。ほとんど聴いていないtと言っても言い過ぎてはありません。それは聴いている私たちが自分たちの考えを持っているからです。

私たち人間は、一人一人独特な価値観やモノの見方、考え方を持っています。良くたとえられるのがメガネです。私たち人間はそれぞれ独自のメガネをかけていて、そのメガネを通して相手を見ています。私が見ている子供は、本当の子供の姿ではなく、私のメガネを通してみた子供の姿なのです。

「聴くこと」にも同じことが言えます。耳にはメガネならぬ翻訳機をつけ相手の言ったことを自分の都合のいいように翻訳して聴いています。

ですから私たちが聴いている子供は本当の子供ではなく、私たちが勝手に思い込んでいる場合が多いのです。その勝手な思い込みを私たちは子供に押し付けてしまうことが多いのです。

ここであなたの「きき耳」チェックをしてみましょう。

あなたの7歳の子供が「ピアノを習いたい」と言い出しました。スイミングスクールは3か月で辞めてしまったりと上手くいかなかった習い事の数々。。。

最初は「そのうちね」とごまかしてましたが、半年たっても「ねーピアノはいつから始めるの?」と催促されました。相談の結果、ピアノ教室に通わせました。ローンを組んでピアノを購入しました。

ピアノ教室に1回目、2回目と楽しそうに通って、簡単な曲も弾けるようになりました。

しかし3回目のレッスンから帰るなり、子供はこう言いました。

「ピアノやめる。もう行かない」

この瞬間、あなたは子供に何というでしょうか?

そのセリフをメモに書いてみましょう。

それでは、「きき耳」チェックでよく出る親のセリフと子供の反応を見てみましょう。

①親のセリフ②子供の反応

質問

①「どうしたの?なぜ?」②「なぜって、えーっと・・・(言い訳)」

脅迫

①「やりたいって言ったのはあなたよ」「ピアノどうするの?」②「もういいよ、二度と言わないから」

非難

①「え!何言ってるの」②「(言わなきゃよかった)」

否定

①「いつもあなたはそうなのよ」「だから言ったでしょ」②「…(黙って反発)」

分析

①「何かあったのね。先生が何か言ったの?」②「そうじゃなくて…(わかってないな)」

ごまかし

①「大丈夫よ。続けてごらん。やめるのはいつでもできるから。」②「…(大丈夫じゃないよ。今、やめたいの。言ってもむだだ)」

同情

①「かわいそうに。何かあったのね」②「(え…何かって)」

説教

①「何も続かないようじゃこれからの人生で困るぞ。習い事というのは…」②「…(結局聴いてくれないんだ)」

肯定

①「いいよ、やめても」②「(どうでもいいのかな)」

押し付け

①「だめだよ。今回は続けなさい」②「…!」

詰問

①「どうしたの!?」②「…(何も言えない)」

いかがでしょうか。あなたの回答に当てはまるものはあったでしょうか。

これらは、親がもっているそれぞれの「きき耳」を通して、発せられたセリフです。想像がつくかもしれませんが、悪い例となります。

では、子供から肯定的な反応を引き出すためにはどうすればいいのでしょう。「きき耳」を外すことはできません。それは私たちの一部だからです。

でも、「きき耳」をさけて子供の話を聴くことならできます。

これこそが「聴く技術」です。

それでは、「聴く技術」についてご紹介します。

1黙る

①子どもに対する指示・命令・小言をやめる

②子供に質問したら、答えが返って来るまで待つ

③思わず何か言いたくなるようなことを子供が言ったら、黙る

親が黙っていれば子供に話すチャンスが巡ってきます。話したいことがあるとき、親が邪魔さえしなければ、子どもは口を開いてくれるのです。

2言葉の反射で子供の心を開く

黙って「理解したい」と念じます。そして子供の言葉を繰り返します。

例:子供「お父さん、私、塾辞めようと思うんだ。」

親:(黙る)「塾辞めたいんだ」(黙る)

子ども:「私ね~」

3子供の問題を解決する聞き方

それではここから、問題解決をサポートする聴き方を先ほどと同じピアノをやめたいといった状況で、説明をしていきます。

子供「ピアノやめる。もう行かない」

親(黙る)「ピアノやめるの?もう行かない?」(黙る)

子供「うん。だって、美香ちゃんが私は下手だって言うの」

親「そうなの。だから、悲しくなっちゃったのね」①

子供「ひどいよ。だから、私もうピアノやめる」

親「悔しかったのね。どうしたらいいか、お母さんと一緒に考えようか」②

子供「考えるって?私はもういやだから」 

親「ピアノも嫌いになったの?」

子供「……そうじゃない。ピアノが嫌いなわけじゃない」

親「そう、あなたはどうしたいの?」③

子供「美香ちゃんが意地悪言わなきゃ、レッスンも楽しいし、ピアノは続けたい」

親「そう、どうしたらピアノを続けられるかしら?」④

子供「うーん、ほかのピアノ教室へ行く」

親「そうね。それもできるわね。ほかにはどうかしら?」

子供「美香ちゃんがほかの教室へ行けばいいのよ」

親「そうね。そうしてくれると助かるわね。ほかには?」

子供「ほかに?美香ちゃんの言うことなんか気にしなきゃいいのよね。あの子ね、結構嫌われてるの。意地悪だから」(ちょっと元気になる)

親「あら、そうなの。ほかにはどんなことができるかしら。あなたが好きなピアノを続けるために」

子供「ほかにはもう思いつかない」

親「そう。いろいろアイディア出たけど、どれをやる?」⑤

子供「うーん……私、美香ちゃんのこと気にしないことにする」 

親「そう。あなたが気にしないでいたら、美香ちゃんどうするかしら?」⑥ 

子供「しつこく言ってくるかもしれない」

親「そうしたら、あなたはどうするの?」

子供「知らん顔してればいいのよ」 

親「そう、できそう?」 

子供「うん、やってみる」

親「そうしたら、美香ちゃんどうするかしらね」

子供「きっと、最後にはあきらめるんじゃない」

親「そうね。やってみる?」 

子供「うん、美香ちゃんのことは気にしない!」

親「それじゃ、お母さんも応援しているから、それでやってみよう。話してくれてありがとう。どんな具合か、また聴かせてね」⑦

子供「うん、わかった」  

いかがでしょうか。

時間はかかりましたが、子供が自分の力で問題解決までいたりましたね。

問題を解決する聴き方の手順をまとめてみましょう。

①反射や感情を理解しながら子供の気持ちを理解し、子供自身に自分の気持ちを認識させる

「だから腹をたてているのね」「とてもつらかったみたいだね」

②一緒に考えることを提案し、話し合いをしたいかどうか確認をする

「どうやったらいいかお父さんと作戦会議しようか?」

③子供がどうしたいか確認し、話し合いの方向性をハッキリさせる

「あなたは本当はどうしたいの?」「どうなったら一番いいと思う?」

④問題解決方法を尋ねる。この時できるかできないかは別としていろいろな解決策を一緒に考える。どんな解決策であっても否定しない。
「そういう方法もあるね?ほかにはどうだろうか?」

⑤いくつかの解決方法の中から、子供に一つ選ばせる。

「この中で一番いい方法はどれかな?」

⑥子供が選んだ方法を実行したら、何が起こる可能性があるか話し合い、誰にとってもうまくいく解決策であることを確認する

「それをやったらどうなると思う?」

⑦実行の気持ちを確認し、子供を力づけ、親が見守っていることを伝える。

「やってみてどんな具合か、また教えてね」

まとめ

いかがだったでしょうか。

最後にこの記事をまとめさせていただきます。

【ヘルプとサポートの違い】

「HELP」保護者の仕事:できない人のためにその人に変わってやってあげること。

「SUPPORT」親の仕事:人を「できる」存在と捉えて、そばで見守り、よりよくなるために必要な時に手を貸すこと。

コーチは決して、選手(主役)に代わってプレーすることはできない。コーチの仕事は選手(子供)の才能をサポートして開花させることです。

【責任を教えることで、問題解決能力がつく】

責任とは「反応する能力」という意味

幼いうちから、子供には仕事を任せ、繰り返し自分で問題解決をする環境を提供しましょう

子供を心地よい母性から引き離し、責任を取ることを教えるのが父性の仕事

【人の役に立つ喜び】

叱ることに効果があるとしたら、それは命にかかわることを教えるとき誰かを傷つけそうなときだけ。

「いい子ね」「えらいぞ」という褒め言葉ではなく、子供が手伝ってくれたことに感謝し、喜んでください。

子育てとは、親が自分の気持ちをいかに言葉豊かに伝えるかを学ぶチャンス

【聴く技術】

1.黙る

2.言葉の反射で子供の心を開く

3.子供の問題を解決する聞き方

ここからは個人的な話ですが7月末より育休を取得することになりました。

この本でも下記のように記載があり、これからは特に意識したいと思いました。

「子どもを保護し愛するためには、何よりも母親の気持ちが安定していることが大切です。そのために、妊娠中、授乳中の父親の仕事は直接子供に対して何かする以上に、母親を幸せな気分にしておくことです。」

妻が妊娠中の時は、共働きということもあり、家に帰ったあともつわりで辛い妻に代わって、長女の世話をみる時間が多く、妻の精神的なサポートができていなかった自分がいました。

妻はその当時を振り返ると、人生で一番精神的につらかったと言っておりました。

これからは、妻のためにも子供のためにも、妻への精神的なサポートをしていきたいと思います。

この度は最後までお読みいただきありがとうございました。

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